娘のきもち


娘が夕べ

「大学卒業したら就職するの嫌だな」と

ポツンと呟いた



静かに

「そうなんだ」

と聞いていた



「でも、いつまでも親のスネかじりではね・・。

いつまでもここに一緒に暮らしているのもね・・」

と言っていた



迷ったり揺れたり

小さな気になることを

少しずつ感受性の肥やしにして



それを成長と呼ぶのなら

ここは黙って娘の感じることや

きもちをただ一緒に見つめて



何を求めての言葉なのか

それともただそう言葉にしてみたかったのか

それも追求せず意味を見出そうとせず



そして口にしたことに対する

重すぎる責任のようなニュアンスを

抱かせないようにそっと

一緒にいたいと思った



言ったことどおりの人生を

歩むことが必ずしも幸せにつながるとは

限らないし



そして人は日々変わり

一貫性など案外保てなくて

もろくも崩れてしまって



本当は自分がどんな世界にいたかったのかなんて

歩みだして動き出して初めて知る感じる気づくことも

たくさんある



「ママはどう思う?」




「そうだね、

おばあちゃんが昔ママとしていたパズルみたいなもの

ミレーの落穂拾いの絵みたいに。


1つのピースは鮮やかさも美しさも感じられない

でも、この世の中の大きなものに色々な感じ方で触れて

自分の心の中に1つ1つピースが出来てくると思うのね


ママほどの年齢になってもまだ、その景色がどんなものか

ぼんやりしていてよく分からないの


だからこそいいのかなってようやく思っているところ

なんだけどね」


娘はホっとした顔で聞いていた。


急がなくて大丈夫だよ。

でももし急いで何かを見つけたいと思ったら

それもそれで面白いのだと思う


自分の歩く速度も歩幅も

あたたかい季節や寒い季節の頃合で変わるのだから

この広大な地球という星の大地の息吹と共に

自然体で芽吹いていってほしいと思う


内側でそう娘にそっと心で

語りかけていた


いつかきっと

この夜のひとときのことが

分かる日がくるような気がしている








felt sense

日常の中にある 何気なくたわいもない 小さな喜びや感じることを アートやフォトから コトバにしています

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